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元明清歴代釉裏紅詳解辰砂
掲載参考写真は発色純正な時代優品ですから、同時代や同じ窯の製品は多少違いがあることはご理解ください。
#歴代釉裏紅器の胎土、造形、文様については、≪元明清歴代青花詳解≫へご参照ください。

元中後期 元末明初 明:洪武 永楽 宣徳 成化 中期 嘉靖 後期 清:早期 康煕 雍正 乾隆~嘉慶前期 嘉慶以降
元中後期
 
発色 浅紅~紅~深紅~暗紅までいろんな赤い色調があります。基本的には”土紅色”基調です。

元の銅紅釉は発色は相当不安定ですから、同じ器の発色も濃淡の違いや、酸化不足の緑色、灰色、黒色、あるいは過酸化による黄色、白化現象が見られます。

色の発散現象があります。色の癒着点が見られます。
まれに非常に発色良好なものもあります。
表釉 前期:白味強い影青釉、白みのある青調にガラス質の透明感があり。鴨卵殻色。
後期:卵白釉、土黄気味の濁白釉。光沢は柔らかい。
末期:赤味のある光沢強い青白釉。
描き 点、線など単調な技法です。紅地白抜きや局部染めの技法もあります
同期青花
との違い
胎土はより荒い、高台足や高台裏の修正はより荒い。土質灰白、造形重厚。
発掘品の本体や底部に土滲みや土錆が明らかです。銘がない。
元青花龍文梅瓶局部拡大写真
元末明初青花龍文大皿局部拡大写真

(元末明初)
明洪武
 
発色 赭紅、灰紅、暗紅、黒紅は多く、明亮な赤は極すくない。基本の色調は”赭紅”(鉄分が多く含まれている)

顔料の癒着点や色の発散が見られます。酸化不足や過酸化点が少ない。
表釉 青白、青灰で肥厚。後期は乳白のガラス質、基本的に磁貫なし。
表釉の流れ現象あり(波浪釉)、縮釉現象が多く見られる。
描き 単線没骨:発色鮮亮な器に多く見られる。
双勾埋色:発色暗い器に多く見られる。
発色と描き技法の関連性から、洪武釉裏紅の暗い発色は人為的な作りだとの見解があります。
東アジアへの輸出品の描きは簡単な一筆画。
同期青花
との違い
地はやや荒い、縮釉現象厳重。前期には沙底が多い。>描きの染め技法は同時代の青花器にはない。
洪武釉裏紅皿局部拡大写真1
洪武釉裏紅皿局部拡大写真2
洪武釉裏紅皿局部拡大写真3

明永楽
発色 質感のある深い紅色 深紅
表釉 表釉は蝦殻青だから、紅色には青白味が掛かる
描き 染め技法が多く見られる。辰砂器の出現。
明宣徳
発色       欝結した血の色。基調は”鬱血紅
顔料塗りは厚いから、暈ける現象はすくなくなった。
表釉 白みのある淡青で厚い、気泡、橘皮、棕明ら
宣徳青花釉裏紅龍文大皿局部拡大写真 (局部再拡大
宣徳釉裏紅魚文碗局部再拡大
明成化
 
発色 発色鮮艶、欝結点や酸化不足、過酸化現象はかなりすくない。”鮮紅
発色極薄いものも多い、淡い青花色と調和するための作為だと言われる。
表釉 表釉の光沢がのよい、釉層は厚い、潤いがある。
描き 青花と併用する場合が多い。  青花釉裏紅

成化青花釉裏紅局部拡大写真 (局部再拡大
成化釉裏紅魚文碗局部拡大写真
 
明中期~清早期までに、釉上紅彩(礬紅彩)が流行りだから、釉裏紅はすくなくなった。

明中期
明嘉靖

清早期三代の釉裏紅焼造技術は飛躍的に進歩した。発色は平和安定、紫色調帯の紅色で、深いと浅い2種類の発色があります。この時代に
精良な官窯製品が多く存在しているほか、青花釉裏紅の作品も特色あります。

 清康煕
清雍正
清乾隆

清嘉慶
清道光~同治~咸豊 アヘン戦争時期に窯業不振ため、釉裏紅製品は稀にない。
晩清(光緒~宣統) 窯業復興より官民とも釉裏紅の秀品がある。また青花釉裏紅や釉上彩と併用した文玩陶磁が多く存在する。
同時期の”青花礬紅彩器”と混同しないよう注意ください。

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