中華七宝傳(琺瑯、景泰藍) | |||
琺瑯、中国の通称は景泰藍、日本は七宝と呼ぶ。現代中国や台湾では、公式な場合には琺瑯器と呼ぶ。 琺瑯器には幾つか技法の違いがあります。 *有線七宝:銅線や銀線で器の表面に模様を作り、エメラル顔料で隙間を埋める。中国語”掐糸琺瑯” *無線七宝:素地の上直接エメラル顔料で描く。中国語”画琺瑯” *無地七宝:有線七宝焼成後、銅胎を塩酸で溶ける。透明感のある成形したエメラル層のみ残る。中国語”脱胎琺瑯” ほか、銅胎琺瑯、磁胎琺瑯など呼び方があります。 この章では、中国元~近代に一番常見の有線七宝について、紹介します。 宋~元、明早期、明中期、明後期、清早期、清乾隆、清中期、清晩期、中華民国期、50~70年代、80年代以降 外部参考資料:<七宝の歴史・日本編> |
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台湾故宮博物院蔵 16世紀(明初期)有線七宝樽拡大写真 |
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時期 | 時代特徴 | 参考品 | |
宋 | 南宋顧文薦《負暄雑録》に“予得一瓶,以銅為胚胎,付之以革,外為觚棱,彩絵外国人之奇形詭状,却似琉璃,極其工巧,不知為何物。”の一段落から、宋の時代にはすでに琺瑯器が中国に持ち込まれていると分かる。当時正式の名前はなく、”鬼国嵌”と呼ばれました。 |
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元後期 草創期 |
元晩期には北京に於いて、銅胎のエメラル顔料の琺瑯器が焼製されました。現存最古の琺瑯器3点は台湾故宮博物館にあります。外来語の”佛朗”や”法藍”を呼名にしました。 | ||
地銅 | 古銅、重厚 | ||
メキ | 鎏金(化学方法)、黄金色 | ||
エメラル顔料 | 色彩豊富、透明感強い、発色不均等、泡あり | ||
工芸 | 粗手工 | ||
造形 | 博古、倣宋 | ||
文様 | 簡単 | ||
明早期 (宣徳) 中堅期 |
明初期≪格古要論≫には琺瑯器を”大食器”または”法藍”と記載されております。”大食”とは大食国のことで、現在の西アラビア地域を指します。エメラル彩器は西アラビア地域から持ち込まれたとわかります。 明宣徳年は工芸の盛期であり、多くの琺瑯器も作られています。中国古代七宝の最高峰とされています。 |
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地銅 | 紫銅(宣徳銅)、金地、重厚 | ||
メキ | 火メキ、厚い、均等、明亮 | ||
エメラル顔料 | 透明感ある、色濃重艶麗。質感堅実、年代より風化現象あり | ||
工芸 | 粗昿、流暢、丁寧 | ||
造形 | 倣青銅器、宮廷用品 | ||
文様 | 芭蕉葉、饕餮,唐獅子、西番蓮、大明蓮 | ||
明中期 (景泰~成化) 高峰期 |
明景泰年は琺瑯器は大流行、宮廷用器はも琺瑯器を沢山取用した経緯があった。明中期には琺瑯器のことを”発藍”と書く。 | ||
地銅 | 黄銅、前代より若干薄い | ||
メキ | 火メキ、真鍮色。 | ||
エメラル顔料 | 厚い色彩より豊富、宝石艶あり、色調均等、層次感表現。 年代の風化現象あり |
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工芸 | 細部工整、表面光滑、 | ||
造形 | 器形端正実用化へ転換 | ||
文様 | 龍鳳文、吉祥文、雲鹤文、水火表现、宗教テーマなどより豊富 | ||
明後期 | 倣制前代制度、無論材料、造形、工芸とも前代より遜色、明万暦以降はほとんど作っていません。 | ||
清早期 | 清早期の文献に、景泰藍の呼名がでました。 現存最古の琺瑯器香炉一点は底部には「大明景泰年製」との銘を入れられました。この理由で清の初期には琺瑯器は明景泰年の発明だと誤認されましたため、景泰藍を呼びました。 (近代の研究では、その最古の香炉の胴体部は元晩期に作られたもので、蓋部と底部は明景泰年による補修でした。) なぜ、景泰”藍”と呼ぶかは、アラビア系は藍色を好むため、それを真似た早期の琺瑯器も多く藍色エメラル顔料を使いましたのであります。イメージできには藍色はベース色に成っていますからので、あります。 |
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地銅 | 超高級品:銅胎金糸 高級品:銅胎銀糸 普通品:銅胎銅糸 黄銅、紅銅、適度な厚さ |
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メキ | 化学メキ、薄い、明亮 | ||
エメラル顔料 | ピンク、銀黄、黒色顔料出現、顔料均等繊細、色明快、表面光滑。風化現象はすくない。(風化穴に半透明物質があるように見える。) 磁質、透明感がない、色は明瞭ですが、艶麗がたりない |
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工芸 | 銅糸製作機械化のため、均等丁寧、綺麗。工芸上は明代より大きく進歩した | ||
造形 | 基本的に明の制度を沿用、創作はありません。 | ||
文様 | 明の文様をベースにした清の風格へアレンジ。文様は複雑有順、路線分明。 花鳥草虫模様は実写風格へ転換。 |
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広東琺瑯器 | |||
清乾隆 | 基本風格は早期に入ります。清の琺瑯器製造の最盛期。品質のよいもののイメージは明宣徳と明中後期の間にあります。 乾隆四年から、広東の琺瑯彩職人を京城に招き、生産飛躍的に拡大したため、製品も装飾品から、各種実用品までなんでもあるようになりました、なか大型物も出ました。 |
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清中期 | アヘン戦争後、琺瑯器は清政府の外貨穫得のため、多くの輸出品が生産されました。 | ||
工芸は全体的に前代より悪い、艶はすくなく、金メキが落ちやすい。 双線並行文様が始まる。 造形的にも輸出用の蓋物や、変調なものが多い見られます。 |
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晩清 (光緒、宣統) |
清政府財政難のため、琺瑯器生産を民間工場へ委託した。そのため、多様な低品質な製品は出ました。 | ||
高級品(倣古品): 清早期の琺瑯器を写したものですが、普遍的には工芸は丁寧ですが、材質は叶えないです。 優れた職人の特製品製品は万博金賞を取った記録もありました。 黄銅、古銅、真鍮 |
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中級品(装飾品、セレフ用品): 真鍮質、薄手、丁寧な作り、金メキは使用により落ちやすい。さわやかな色の新調風格。 |
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低級品(民用雑品):雑銅、粗質、極薄手、金メキなし、表面不平。収蔵価値なし | |||
中華民国期 | 民国時代の技術は清よりさらに退歩した。廉価な実用品は多く出回っています。 エメラル顔料安定剤を使用より、成品率が上がりましたが。出来ぐらいは透明感と艶がはまったくないものでした。 極薄手の雑銅、極薄い電気メキ或いは金メキなし。収蔵価値はありません。 |
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輸出手 | 装飾品 | ||
実用品 | |||
50~70年代 (中華人民共和国建国初期) |
外貨穫得の輸出手や礼賓用品として作られています。この時代から正式に七宝工芸品を”琺瑯”と、日用七宝器を”搪瓷”と呼び分けられました。 電気メキは丈夫、エメラル色は暗い、表面は磨きは歴代最高ですが、艶が悪い。銅線の曲がりが力がない。 完全に透明なエメラル彩も開発されました。 |
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60~70年代文化大革命時期の作品は極めてすくないため、高価です。 | |||
現代 | 高級写し:熟練な工芸師よる、厳選された材料と仕様のもとで、現代技術で復製されたものです。素人だと区別付かない。 国内販売や、海外のオークション市場には多く出回っています。当然本物として販売されています。 |
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低級写し:写し工場の定番製品、国内外の骨董市場には多く見られます。素人だと区別が付きにくい。 価格は安いため、喜んで買う人も結構います。 |
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